「齋」の異体字にからむ13年前からのもやもやをまとめてみる
話はまだ20世紀だった頃に遡るのだが、JIS X 0213のために集まった追加漢字候補を検討しているときのこと。
下は当時の資料から。NTTの外字に「さいとう」さんの「さい」が様々あった中の二つ。
「齋」の異体と「齊」の異体。真ん中の「丫」が「了」になっている。つまり部分字体が異なるのだが、
資料の一つは『鉅宋広韻』、つまり韻目の一つ「齊」そのもの。これを区別してしまうと非常に厄介なことになる。
「包摂するしかないね」ということで話は終わった。……のだが、規格が出来上がってみると、これについての包摂規準はつくられていない。「齋」も「齊」もJIS X 0208の字であり、X 0213の包摂規準としては設定しようがないのだった。X 0208の方で追加の包摂規準を立てなければならないところなのだが、それをしないまま委員会は解散してしまった。
ちなみに『干禄字書』を見ると、
こんな感じ。見出し字は「丫」を書いている。しかし、小さい字のほうは続けて書いてしまっているので、「了」に見えてしまう。
HNGを見ても、
http://www.joao-roiz.jp/HNG/search/word=%25E9%25BD%258B&ratio=0.020
区別はない。
ところが、21世紀に入った途端、この二つの異体字がもう一度登場した。
Adobe-Japan 1-4には、この二つが入っていた。
そしてそれをもとにIVSが。
常用漢字「斉・斎」の康熙字典体「齊・齋」、それにさらに二つ。ほかにも「亝」があるから「さいとう」さんの一族は多種多様。
それにしてもAdobe-Japan 1-4にはどうしてこれが入ったのか、気になったのでTwitterで大先生に聞いてみた。
https://twitter.com/#!/ken_lunde/status/194816633414488065
@ken_lunde さんとやりとりするのはメーリングリスト時代(mixiより前)以来かも。
長いこともやもやしていたのが、少しすっきりした。