【変体仮名】一筆書きじゃあないのだけれど

小学校(あるいはそれ以前)で初めて文字(ひらがな)を練習するとき、たいていは鉛筆で書くだろう。それとも現在は違うのだろうか。

100年前だと、確実に毛筆で練習した。毛筆の場合、筆圧の強弱が太さを決定し、文字に抑揚がつく。鉛筆ではそれがない。

変体仮名の参考資料はほとんどが毛筆によって書かれたものであり、抑揚のある書きぶりとなっているが、これを鉛筆で書いたらどうなるかと考えるとなかなか難しい。

資料の文字をなぞれば、ほとんどが一筆書きになってしまいそうだ。

 

たとえば、こんな十字形を、

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一筆書きで書いてみると、

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このような四通りがある。

実際手書きするときには一筆書きではなく、途中で筆は空中に浮いて、

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こんなふうになるだろう。

 

いくつかの明朝体の仮名で見比べてみよう。

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脈絡がつながっていないものでも、空中の筆の動きが想像できるフォントもある。

 

さて、「古」を字母とする「こ」の変体仮名を見ると、

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切れているものもある。

 

「須」を字母とする「す」の変体仮名は、

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もう少し切れるところがありそうでもあるが……。