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二重引用符の“double quote”と〝ノノカギ〟について(3)

近デジで、川口義久『アメリカ生活』(大正9)という本を見つけて面白がって見ているのだが、
“Above all Nations is Humanity”という標語と『Cosmopolitan Student』という雑誌名での引用符の遣い分けに目がとまった。

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http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/964233/61
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/964233/63
(関係ないが【一九】の見出しが面白い)


“double quote”の縦組字形が〝ノノカギ〟だというのは、JIS C 6226(78JIS)の開発過程でそういう意見があって(さらにJIS X 4051の開発過程でも同様だったらしい)決まったというのだが、私が活版の雑誌の校正をしていたときには横組で〝ノノカギ〟が使われていたし、新聞では一貫して使っている。

朝日新聞の用語の手引』1981年のものを見ても、

 その他の符号

 一、引用符を二重、三重に使うときは、次の順序が通例。

 「『〝〟』」

 となっている。

 

そもそも英文で“double quote”が使われているものを日本語に翻訳すると、「鉤括弧」になるのが普通だ。

 

大正12年のローマ字本聖書『Shin-Yaku Seisho』(英国聖書会社)には“double quote”が使われている。

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しかし、昭和9年の米国聖書協会『英和対照使徒行伝』を見ても、英文の方には引用符はない。欽定訳聖書では引用符は使われていないのに、日本語訳では『』が使われている。

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さらに古い明治34年の大日本聖書館『Shinyaku zensho』には引用符はない。

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あるいは昭和2年の中瀬古六郎『近代化学史』 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1049239/84 は横組で、
欧文には“double quote”、和文には『』を使っている(ただし後半になると和欧ともに“”を使ったりしている。

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本日は時間がないのでここまでに。