2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「来」と「黒」

『銀河鉄道の夜』自筆原稿で気になった字の一つが「来」。旧字は「來」だが、昔からあまり書かれてこなかった字体で、智永の千字文も…… (右が楷書、左が草書。楷書でも「来」で、しかも点ふたつは繫がっている) よく見られるのがこの「耒」(耕・耘の部首…

『銀河鉄道の夜』原稿中の異体字

明治・大正の作家の自筆原稿を見て、「(旧字でなく)常用漢字を書いている⁉︎」と驚く人がいる。作家は新字体を書いているわけではなく、当時普通に用いられていた俗字・略字を書いているに過ぎないのだが。たとえば作家が「体」と書いたとしても、その当時…

宮沢賢治の手書き文字

1980年に出た『新修宮沢賢治全集』(筑摩書房)の第十二巻には箱全面を覆う帯がついていた。毎月こつこつとこの全集を買っていた頃が個人的な第二次宮沢賢治ブームだった。この帯の裏表紙側には『銀河鉄道の夜』冒頭の原稿の写真が載っていて、賢治さんの手…