異体字ってやつは本当に…

常用漢字表に示された漢字の字体には、
A:伝統的な楷書の書写体
B:康熙字典
C:略字体
の三種類が混在している。

同じ漢字でありながら字体が異なるもの、つまり「異体字」には、
a:伝統的な楷書の書写体で不採用となった字体
b:康熙字典体で不採用となった字体
c:略字体で不採用となった字体
d:他の書体(楷書でなく篆書、隷書、草書)で書かれたものを無理に楷書としてしまった字体
e:同音同義だが別の造字法で作られた漢字

などがあるが、常用漢字表(当用漢字字体表)以前から存在する字体という意味でひとしなみに「旧字」と言われてしまうこともある。

常用漢字表で括弧付きの漢字がbのパターンだが、この中にはaかつbというものもある。
例えば「桜(櫻)」「沢(澤)」など常用漢字がC(略字)のパターンだ。
aであってbでないものというと「㑹」がそうで、bは「會」、Cが「会」という具合だ。

「高」の場合は「髙」がaで、「吉」のaが「?」というように伝統的な楷書の書写体が康熙字典体に変えられたケースでは必ずと言っていいほど外字が発生してきた。
「塩」の場合はAと言っていいが、「鹽(b)」も書かれたことが『徒然草』にも出てくる。

さて、何の話かというと、またも始まるタイポグラフィセミナー

http://www.visions.jp/b-typography/

告知に大きく載った講師の名前が難しい。日下さんのブログでは、「告知の羽良多さんの苗字〈良〉の游築見出し明朝体は、字游工房に作ってもらった。」とある。

http://www.bgx.jp/blog/?p=500#more

「羽」と「平」はGSUBでもIVSでも康熙字典体に変更できるが「良」は無理。康熙字典体も「良」なので。

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左のは「羽?良多平?吉」ではなく「羽?一艮多平?吉」と打って誤魔化している。

小宮山さんの資料では、確かにこう作った「良」が存在したことがわかる。

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異体字ってのはホント厄介ですなぁ。