浄瑠璃丸本と楷書八行本
2月27日の記事で、不思議な切れ方のことを書いた。先日セミナーで会った方(Twitter: @2SC1815J さんだったか @uakira2さんだったか)に、「切れ目の所に〽があります」とお教えいただいた。
別の演目、『菅原伝授手習鑑』の寺子屋の段を、丸本で見てみると、
左ページ一行目の真ん中あたりに(元は朱刷の)〽が確かにある。ここから後が上演時には「寺子屋の段」、そこまでは「寺入りの段」と分かれている。
もう一冊、楷書八行本という楷書活字で印刷されたものを見ると、
同じ箇所に「が入れてある。
明治以前から、ここで段を分けていた様子だ。
ちなみに丸本の見開きをその改行通りに起こしてみると、
ソリヤ道理いなドリヤおばがよい
物やりましよつい戻つてやら
んせと目でしらすればアイ/\つい
ちよつと一走りと後追子
にも引さるゝ振かゑり見
返りて下部〽引連急ぎ行
どりやこちの子と近付
にと若君の傍へ寄機嫌
紛らす折からに立帰る主
の源蔵常にかはりて色
カタカナは割注扱いとして、一行の文字数を数えると、
12/13/14/11/11/10/10/10/11/10
10字を基本としつつも仮名が詰められて15字くらいまでになることがあるようだ。
見開きで10行、112字入っている勘定だ。
楷書版は21字8行で、1ページ168字。カタカナや句読点も1字扱いだから、おおむね丸本の見開きが1ページに収まることになる。