CJK互換漢字とIVS — 塚崎さんの悲哀
Twitterで、手塚治虫の塚の話題が気になったので、いろいろ確認してみた。
「塚」は1981年に常用漢字表に入った。そのため78JISでは「塚」(JIS X 0213, 1-15-55)だったものが83JISで字体変更された。旧字の「塚」はIBM外字に残り、カナダ経由でCJK互換漢字に入った(U+FA10)。AdobeJapan1-3には、78JISに従う(NEC由来かな)CID7746と、IBM外字のためのCID8422が存在する。
「崎」の俗字「﨑」(JIS X 0213, 1-47-82)は2000JISに入った(包摂規準の問題はなかった)が、以前からIBM外字にあり、統合を避けるためCJK互換漢字に入っていた(U+FA11)。AdobeJapan1-3には、IBM外字のためのCID8443と、JIS X 0213のためのCID14290が存在する。
Adobe InDesign CS6で、これらが使い分けられるかどうか試すのだが、ペーストしたところで互換漢字が正規化されてしまうだろうから、普通のを入力してGSUBを適用(っていうとカッコいいのだが、頭悪いので字形パネルでダブルクリック入力している)。
小塚(Pro6N)や秀英は新しいフォントなので三通り出るが、リュウミンやヒラギノでは二通りにしかならない。
次はIVSを試してみよう。 @monokano さんのIVS Checkerで……
「塚」には汎用電子を加えれば四通りの字形が可能。
「崎」にはない……
やや、互換漢字の「﨑」が基底文字になっている!
これは……大丈夫なのだろうか……。
本家を確認しても同じだ。
InDesignで再確認すると、「塚」は正規化されるが、「﨑」はされない。
世の中に「塚崎」さんという自分の名前の字体にうるさい人がいるとしたら、
きっととても大変だろうな。
『「つか」は「塚」(冢の俗字の康熙字典体)、「さき」は「﨑」は俗字で「立」が垂直な方をお願いします』とか……。「旧字で」とか「正字で」じゃ、正確に伝わりませんから。
ちなみに「塚」のMS明朝タイプ(U+585A E0104)にこだわる人も結構いるようです。DTP屋さん泣かせです。